印象の画風にさらなる変化をもたらしたのが、1957年9月13日のミシェル・タピエの訪問だ。戦後、欧米の美術界で見られた未定形の表現を「アンフォルメル」という概念で論じたことで知られるタピエ。すでに抽象表現に取り組んでいた印象だったが、タピエと出会ったことでアンフォルメルに接近。俵屋宗達の《風神雷神図屏風》に挑んだ《風神》(1961)も、見事にアンフォルメルの作品となっている。



いっぽう、晩年の作品では印象芸術の中核とも言える仏教をテーマとし、具象的なモチーフが再登場する点は興味深い。絶筆となった《善道大師》(1975)は、力強い抽象的な筆跡の中に善道大師の姿が描かれており、画風を軽やかに変化させてきた印象の最期を飾るにふさわしいものと言えるだろう。




















