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堂本印象とは何者だったのか? 「没後50年 堂本印象 自在なる創造」(京都国立近代美術館)開幕レポート【6/7ページ】

 印象の画風にさらなる変化をもたらしたのが、1957年9月13日のミシェル・タピエの訪問だ。戦後、欧米の美術界で見られた未定形の表現を「アンフォルメル」という概念で論じたことで知られるタピエ。すでに抽象表現に取り組んでいた印象だったが、タピエと出会ったことでアンフォルメルに接近。俵屋宗達の《風神雷神図屏風》に挑んだ《風神》(1961)も、見事にアンフォルメルの作品となっている。

5章の展示風景より、中央左はアンフォルメル風抽象画へと進んだ初期の作品《無間知覚》(1960)
5章の展示風景より
5章の展示風景より、左から《桜杉木立屏風》(1972)、《風神》(1961)

 いっぽう、晩年の作品では印象芸術の中核とも言える仏教をテーマとし、具象的なモチーフが再登場する点は興味深い。絶筆となった《善道大師》(1975)は、力強い抽象的な筆跡の中に善道大師の姿が描かれており、画風を軽やかに変化させてきた印象の最期を飾るにふさわしいものと言えるだろう。

展示風景より、左から《善道大師》(1975)、《十念十声》(1972)

編集部