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「『数寄者』の現代―即翁と杉本博司、その伝統と創造」(荏原 畠山美術館)レポート。時代を超えた数寄者の共演【4/4ページ】

 その古美術コレクションとしては、紀州徳川家伝来の千利休の《竹一重切花入 銘「江之浦」》(桃山時代)が、須田悦弘の木彫《椿 蕾》(2024)と組み合わせて展示。なお須田の作品はこれのみならず、室町時代の《春日神鹿像》のほか、随所に見ることができる。

千利休の《竹一重切花入 銘「江之浦」》(桃山時代)と須田悦弘の木彫《椿 蕾》(2024)
展示風景より、《春日神鹿像》(室町時代)。海景五輪塔は杉本博司、蓮台・鞍の補作は須田悦弘が手がけた

 古美術コレクションで白眉となるのは、法隆寺金堂釈迦三尊像の旧部材とされるものだ。これは杉本の古美術コレクションから新たに発見されたもので、釈迦三尊像の脇侍菩薩立像の台座蓮弁とみられる。杉本は大茶人・益田鈍翁(1848〜1938)旧蔵の「法隆寺金堂金具」を所有していたが、今回の展覧会に際して日本彫刻史の専門家による調査を実施。台座蓮弁である可能性が極めて高いことが確認されたという。調査を担当した瀬谷貴之・金沢文庫主任学芸員は、これを「日本美術史上画期的な発見」と評価している。

展示風景より、《法隆寺釈迦三尊 脇侍菩薩立像 台座旧蓮弁》(奈良時代)と杉本博司臨書《無準師範 墨蹟 東西蔵》(2022)

 近代最後の数寄者とも言える畠山即翁と、まごうとこなき現代の数寄者・杉本博司。時代を超えた数寄者の共演を見逃す手はない。

展示風景より、《十一面観音立像》(平安時代)と《二十五菩薩来迎図》(鎌倉時代)
展示風景より、中央の軸は白髪一雄《墨筆抽象画》(1960年代前半)
展示風景より

編集部