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「BIWAKOビエンナーレ2025」会場レポート。近江の歴史と歩み、近江の歴史をつくる芸術祭【6/8ページ】

旧西川家住宅

 近江八幡市を代表する近江商人のひとりである西川利右衛門は、初代から昭和5年に11代が没するまで、約300年間に渡って活躍した。主屋は1706年の建築当初のかたちに復元されており、また3階建ての土蔵は、天和年間(1681〜1683)の建築という由緒正しいものだ。ここでは池原悠太、うらゆかり、ジュリアン・シニョレ、田代璃緒、森山佐紀が作品を展示している。

旧西川家住宅 撮影=編集部

 動植物や風景、建築物、電子記号、工業製品などをモチーフに、ペインティングや写真、画像のコラージュを通じて、事物が大きな流れのなかで循環していく様子を表現してきた池原悠太。日本間に出現した移りゆくものを描いた大型絵画は圧巻だ。

展示風景より、池原悠太の作品 撮影=編集部

 ジュリアン・シニョレは、長崎原爆を生き延び、キリスト教信仰にもとづいた言論活動と祈りを続けた永井隆への敬意を、「祈る」作品として表現した。 

展示風景より、ジュリアン・シニョレの作品 撮影=ジュリアン・シニョレ

西川庄六別邸

 西川庄六邸は、古い部分は1785年ごろに建てたとされる建築だ。江戸時代から蚊帳・綿・砂糖・扇などを商い、江戸・大阪に出店した商家の住宅だ。会場となるのはその別邸となっている。ここでは秋永邦洋、北浦雄大、西島雄志、原菜央、三木サチコ、新野恭平、あわ屋、檜皮一彦 + 城山恵美(車いす編み機実行委員会)、山田正好が展示を行っている。

 新野恭平はガラスをひと筋ずつつないでいき、巨大なクラゲを空中に現出させた。北浦雄大は漆という素材を通して、古くから続いてきた仏像に代表される宗教的な祈りを空中に浮遊する像や、調度品のような造形物で表現した。

展示風景より、新野恭平の作品 撮影=中田洋子
展示風景より、北浦雄大の作品 撮影=中田洋子

 人間の見えない部分を彫刻として人物像に表す三木サチコは屋根裏のスペースに小宇宙的な空間を創出。秋永邦洋は動物を虚ろな陶器に表し、そのうえに装飾を施すことで、現代の曖昧さを表現しようと試みた。

展示風景より、三木サチコの作品 撮影=平垣内悠人
展示風景より、秋永邦洋の作品 撮影=中田洋子

編集部