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「ルーシー・リー展 ー東西をつなぐ優美のうつわー」(国立工芸館)開幕レポート【2/3ページ】

 まず第1章「ウィーンに生まれて」では、ウィーン工芸美術学校で師であるミヒャエル・ポヴォルニーに陶芸を学び、同地で制作活動を開始したリーによる初期作品と、ウィーン工房の創設者のひとりであるヨーゼフ・ホフマンやバーナード・リーチ、上野リチなどといった、同時代作家による作品をあわせて展示している。この時代より釉薬の研究にも力を注いでいたというリー。展示作品からは、実験的な姿勢も垣間見える。

展示風景より、ルーシー・リー《鉢》(1926)。釉薬の混じりあいが装飾的な美しさを生み出している点にも注目
展示風景より、上野リチ・リックス(装飾、1929)/ ヨーゼフ・ホフマン(形、1917)
展示風景より

 第2章「ロンドンでの出会い」では、1938年にルーシーがナチス迫害から逃げるために渡ったロンドンで制作された作品と、すでにイギリス陶芸界の中心であったリーチや、ボタン制作のため工房に参加した彫刻家志望のハンス・コパーらといった、同地でリーが影響を受けた作家らによる作品もあわせて展覧されている。

 とくにこの頃は、民藝運動などに影響を受けたリーチによる作風もリーの作品には見られるものの、次第に、薄型で上に向かって広がる造形の特徴が見られるようになる。リーチからは「陶芸らしくない」といった批判も受けていたようだが、この独自の路線が、今後のリーの方向性を決定づけるものとなっていった。

展示風景より、バーナード・リーチ《ブリタニーの玉葱売り》(1934)
展示風景より、ルーシー・リー《ボタン》(1939-43)
展示風景より、ルーシー・リー《蓋碗》(1940)
展示風景より、ルーシー・リー《白釉鉢》(1950)

編集部