第9章「漁撈と舟──漁具にみる機能と造形美」では、漁に用いられてきた道具とその造形美に、そして第10章「交易と舟──島じまをまわる宝たち」では、貝製品や土器、樹皮布などといった、海上交易によってもたらされた文化の交換について、その品々や映像を用いながら焦点を当てている。



あの世とこの世を行き来することは、舟旅にもなぞらえられてきた。本展の最終章となる「あの世とこの世をつなぐ舟」では、霊舟や精霊舟のような信仰としての舟のすがたを取り上げるほか、各地域の遺跡などで描かれてきた舟のモチーフなどを実物やパネル写真とともに紹介されている。


舟の誕生そしてその発展は、人類に「移動」の手段をもたらし、様々な地域における人々の暮らしや交流を盛んにしてきた。展覧会を通じて、その影響の大きさから、「舟をつくる」「舟を動かす」などの行為における、人々が積み上げてきた数々の工夫にも触れることができるだろう。




















