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特別展「舟と人類―アジア・オセアニアの海の暮らし」(国立民族学博物館)開幕レポート【2/4ページ】

 本展でもメインとなるのは、特別展示室1階の中央大部分を占める第4章「南洋圏の舟」だ。ホモ・サピエンスが移住・生活をもっとも活発に行っていたのがこの南洋圏だという。ここでは、オセアニアや東南アジア海域への移動を支え、現在も使用されているアウトリガー式(*)の多様な世界を紹介している。とくに中央に設置されている3つの舟は、本展のために帆が貼られた状態での展示となり、舟本体や装飾の仕様にも様々な文化圏の特色が見受けられるという。ぜひ比較してみてほしい。

第4章「南洋圏の舟」展示風景より、中央はパプアニューギニアのマッシム地域で行われているクラ交易のためのカヌーで、貝を用いた美しい装飾にも注目。大きな帆は、同地に植生を持つ葉が用いられている
第4章「南洋圏の舟」展示風景より、サマ・バジャウ民族の家船(半分)
第4章「南洋圏の舟」展示風景より、長編記録映画『チェチェメニ号の冒険』に登場したチェチェメニ号。これは、ミクロネシアを出発し、約3000メートルの公開を経て「沖縄国際海洋博覧会」に到着するといった記録映像で、今年はその航海プロジェクトから50周年にあたる

 また、第5章「日本の舟とその世界」では、同館に数多く所蔵される和船の資料から4つを厳選して紹介している。とくに新潟県の「たらい舟」は、本来異なる用途を持つ日用品が舟として転用されているユニークな事例とも言えるだろう。

第5章「日本の舟とその世界」展示風景より
第5章「日本の舟とその世界」展示風景より、新潟県の「たらい舟」

*──舟を安定させるために本体横に取り付けられる浮力体。

編集部