「GO FOR KOGEI 2025」開幕レポート。「工芸的なるもの」を軸に「工芸」そのものを問い直す【4/7ページ】

 今年で3回目の参加となる桑田卓郎は、近年、陶芸の原点ともいえる「食」へと回帰したプロジェクトを立ち上げている。「酒蕎麦くちいわ」では、桑田の作品で蕎麦のフルコースを食べることができる。

展示風景より、桑田卓郎による器の数々
会場風景より、桑田卓郎の器を使って食べる「酒蕎麦くちいわ」での蕎麦フルコースの見本

 今年の5月まで銀行として稼働していた「旧岩瀬銀行」も、今回の会場のひとつだ。ここには各部屋ごとに複数の作家の作品が展開されている。

 独学で刺繡を学んだ手芸作家の髙知子は、令和6年能登半島地震を機に、髙が生まれ育った輪島市および能登地域に住む子供たちを支援するため、子供たちがトートバッグに描いた絵を、髙が刺繍にして贈り返すという「ミームプロジェクト」を立ち上げた。会場には、実際に子供たちの手に渡った38点が並ぶ(会期後は返却)。

展示風景より、髙知子の「ミームプロジェクト」による作品(いずれも制作年は2024年)

 ほかにも、やまなみ工房の作家であった清水千秋や、自作したラテックス製のボディースーツを用いて、鑑賞者と共に家畜や虫などのキャラクターに扮するパフォーマンスを行うサエボーグ、テキスタイルポスターというかたちで母娘のコラボレーション作品を生み出し続ける清水徳子+清水美帆+オィヴン・レンバーグ、金型を用いた吹きガラスを用いて絵画的表現を探求する吉積彩乃の作品が並ぶ。

展示風景より、サエボーグ 左:《Slaughterhouse》(2019)、右:《サエボーグ(吊り豚)》(2019)
展示風景より、吉積彩乃の作品

編集部