「GO FOR KOGEI 2025」開幕レポート。「工芸的なるもの」を軸に「工芸」そのものを問い直す【3/7ページ】

 「桝田酒造店 満寿泉」から歩いてすぐのところにある「セイマイジョ」には、インドネシア・モジョケルト出身のアリ・バユアジの作品がある。インドネシアの海岸に打ち上げられたロープを素材とした作品となっており、地元の人々との共同作業によって制作された。新型コロナウイルス感染症により移動制限がかかった際、観光業で成り立っていたバリにおける労働機会を生み出すといった背景もあり誕生した作品たちである。

展示風景より、アリ・バユアジ《One Eyed Rangda》(2023)

 続いて「旧林医院」と「富山港展望台」の2箇所で松本勇馬の作品が発表されている。松本は、新潟で開催される「大地の芸術祭」にサポーターとして関わるなかで、藁による彫刻と出会い、現在は独立して作家活動を行っている。牛と猫をモチーフにした大型の作品は、106名の地域の人々と共同で制作された。

展示風景より、松本勇馬《スカイネッコ》(2025)

 「New An 蔵」の会場では、「陶芸」のプロセスそのものを作品化することを試みる坂本森海の映像作品を見ることができる。動画では、坂本が令和6年能登半島地震の後に、ボランティアで珠洲市の泥かきをしたときの土を使って七輪をつくる様子が映される。会期中には「能登の土から生まれた七輪でふるまうバーベキュー」というイベントも実施される。

展示風景より、坂本森海《移動する土》(2025)
イベント風景より、坂本森海の「能登の土から生まれた七輪でふるまうバーベキュー」の様子

編集部