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「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」(国立新美術館)開幕レポート【4/5ページ】

 自分を見直そうとしたとき、必要となるのは他者の存在だ。レンズ2「自己と他者と」では、そのようなまなざしの交換のなかで、「ジェンダー」や「ナショナリティ」について問いかけるような実践を行ってきたアーティストらによる取り組みを紹介している。

レンズ2「自己と他者と」展示風景より、西山美なコ《ザ・ピんくはうす》(1991/2006)
レンズ2「自己と他者と」展示風景より、イ・ブル《受難への遺憾―私はピクニックしている子犬だと思う?》(1990)に登場する着ぐるみ

 長島有里枝や笠原美智子、イ・ブルなどといった女性アーティストらによる作品からは、実践を通じた既存社会に対する戦いの軌跡が読み取れるほか、フランス人アーティストのピエール・ユイグとフィリップ・パレーノが日本の専門会社で購入した、オープンソースの女性キャラクター「アンリー」を用いたプロジェクト「No Ghost Just a Shell」では、これを用いた18人のアーティストによる様々作品が展開され、物理的な壁を超えた対話の在り方が提示された。

レンズ2「自己と他者と」展示風景より、ドミニク・ゴンザレス=フォルステル《安全地帯のアンリー》(2000)
レンズ2「自己と他者と」展示風景より

 また、アーティスト・イン・レジデンスなどで日本に滞在した海外アーティストらによる作品も展示。「能」や「捕鯨」といった日本の文化にどのような影響を受け、自らの制作に反映していったかについても注目してほしい。

レンズ2「自己と他者と」展示風景より、ジョーン・ジョナス《2匹の月のうさぎ》(2010)
レンズ2「自己と他者と」展示風景より、マシュー・バーニー《拘束のドローイング 9:ミラー・ポジション》(2005)

編集部