「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」(VS.)開幕レポート。坂本龍一と大阪の接点とは?【2/2ページ】

 バシェ音響彫刻の周囲には、東京都現代美術館でも展示されたインスタレーションが展示されている。なかでももっとも大規模な作品は、坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible...》(2007)だ。同作は、1999年制作のオペラ『LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999』をベースとするサウンドに包まれた空間を舞台に、9つの水が張られたアクリルボックスをグリッド状に中空に浮かべたもの。水槽は明滅を繰り返し、地面に様々な景色を映し出す。

展示風景より、坂本龍一 + 高谷史郎《LIFEーfluid, invisible, inaudible...》(2007)

 また会場の一室では、坂本自ら乃木坂ソニースタジオで360 Reality Audioミックスに立ち会った最後のオリジナルアルバム『12』を、坂本がスタジオで確認した環境と同じ音環境で再現。また坂本が生前にバシェ音響彫刻を演奏・録音した音源『Ryuichi Sakamoto: Playing the Baschet』も360 Reality Audioで聴くことができる。

 加えて坂本の演奏データを、長年愛用したグランドピアノで再生する《Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2025-D》でも、坂本の音楽に包み込まれる体験ができるだろう。

360 Reality Audio
展示風景より、《Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2025-D》

 なお会場では、1970年後の坂本の資料アーカイヴも展示。若き坂本の足跡をたどるとともに、本人が保管していた70年万博のチケットが、現在と70年を接続させる。

編集部