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「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語ー現代マイセンの磁器芸術」(泉屋博古館東京)開幕レポート。300年以上の歴史を誇るマイセンの伝統と革新性をたどる【6/7ページ】

 第3章「光と色彩の時代」では、ヴェルナーの1970年代後半以降の作品が紹介される。1980年代に入ると、ヴェルナーのデザインは具象を超えたものとなっていき、花、雲、風、ジュエリーから男女の愛まで、多種多様なモチーフを抽象的に描くようになる。

 《ヴィジョン》コーヒーサービスは、そんな抽象的なデザインが施された作品のひとつ。マスキングを用いて直線や面を描き、さらに部分的に掻き落しを加えるという斬新な手法を用いている。

展示風景より、《ヴィジョン》コーヒーサービス(1990)

 《アフロディーテ》コーヒーサービスは、ヴェルナーの70歳および勤続55年を記念して製作されたシリーズ。中国や日本の青磁を想起させる釉下の薄緑色と、青の絵具一色のみを用い、ギリシャ神話の女神アフロディーテや、貝真珠などを描いた作品だ。

展示風景より、《アフロディーテ》コーヒーサービス(1998)

編集部