• HOME
  • MAGAZINE
  • NEWS
  • REPORT
  • 「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語ー現代マイセンの…

「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語ー現代マイセンの磁器芸術」(泉屋博古館東京)開幕レポート。300年以上の歴史を誇るマイセンの伝統と革新性をたどる【4/7ページ】

 第2章「名シリーズの時代」では、ヴェルナーが生み出した数々の名品が展覧される。

 会場に入ると、華やかな黄色が使われた作品が目に飛び込んでくる。これはドイツで古くから親しまれてきた文学作品をモチーフとした《ミュンヒハウゼン》で、今年で制作から60周年を迎えるシリーズだ。しかし黄色い《ミュンヒハウゼン》の製造は大変難しく、現在は製造ができない。これ以上の製造が不可能な、大変貴重なものとなっている。

展示風景より、《ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)》コーヒーサービス マイセン 1964頃~ 個人蔵
展示風景より、《ミュンヒハウゼン(ほら吹き男爵)》コーヒーサービス マイセン 1964頃~ 個人蔵

 ヴェルナーは1970年代後半にかけて、物語(メルヘン)からインスピレーションを得た代表作《アラビアンナイト》を制作する。展示されている《アラビアンナイト》コーヒーサービスは、本シリーズのなかでももっともスタンダードなサービスで、本コレクションでは12種類の柄すべてがそろっている。主題となる『アラビアンナイト』、別名『千夜一夜物語』は、「アラジンと不思議なランプ」や「アリババと40人の盗賊」をはじめ、アラビア、ペルシャ、インドなどの伝説や民話を収録した物語集。そんな物語に登場する数々の魅力的な場面を美しく描き上げたものだ。ポットの上に施された花のレリーフにも注目してほしい。

展示風景より、《アラビアンナイト》ティーサービス(1966)
展示風景より、《アラビアンナイト》ティーサービス(1966)
展示風景より、《アラビアンナイト》ティーサービス(1966)

 なお本展では、入り口ホールにアラビアンナイトの文様を施した《アラビアンナイト》宝石箱も展示されている。

展示風景より、《アラビアンナイト》宝石箱(1966)

編集部