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「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語ー現代マイセンの磁器芸術」(泉屋博古館東京)開幕レポート。300年以上の歴史を誇るマイセンの伝統と革新性をたどる【5/7ページ】

 現代マイセンをつくりあげた「芸術の発展を目指すグループ」には、装飾デザイナーのヴェルナー以外にも、器形をつくり出す彫塑家や造形師も属しており、互いに影響を与えあっていた。そんな彼らはモーリッツブルグ城にアトリエを構えており、演奏会や森での狩りを楽しみながら、制作を続けていた。

 そんなアトリエでの生活を象徴するような作品が、《狩り》シリーズだ。本シリーズのなかでも《猟師のホラ話》モカセット、ボウルでは、狩りの際に使う銃の形をしたポットの蓋が施されており、当時の環境からインスピレーションを受けたことがわかる。

展示風景より、《猟師のホラ話》モカセット、ボウル(1973)

 そして《アラビアンナイト》と双璧をなすヴェルナーの代表作、《サマーナイト》ティーサービスが展覧される。シェイクスピアの『真夏の夜の夢』がテーマとなった本作は、「芸術の発展を目指すグループ」のメンバーのうちの1人が、第二次世界大戦後、戦争捕虜としてイギリスに滞在していた際にこの演目を見たことが制作のきっかけになったという。武器にならない磁器でこそ、「生きる喜び」を表現したいという思いが体現された作品だ。

展示風景より、《サマーナイト》ティーサービス(1969、1974以降製作)
展示風景より、《サマーナイト》ティーサービス(1969、1974以降製作)

 本章では、磁器のほかに陶版画の作品も見ることができる。

展示風景より、《猟師のホラ話》陶版画(1973)

編集部