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「特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語ー現代マイセンの磁器芸術」(泉屋博古館東京)開幕レポート。300年以上の歴史を誇るマイセンの伝統と革新性をたどる【2/7ページ】

 会場を入ってすぐのプロローグ「名窯の誕生」では、ヨーロッパ初の硬質磁器の制作に成功したマイセンの始まりを紐解く構成となっている。

 ドイツ・ザクセン州の古都マイセンは、アウグスト強王(1670〜1733)が1710年に王立磁器製作所を設立した場所である。このアウグスト強王は熱心な東洋磁器愛好家で知られており、日本の有田で誕生した磁器「柿右衛門様式」も多くコレクションしていた。「柿右衛門様式」は、「白い金」ともいわれる「ミルキーボディ」(乳白色)の美しく薄い白磁が特徴で、赤、黄、緑、青、金の上絵具による絵付けが施されている。

 マイセンの近郊には白磁の原料となる良質なカオリンがあったため、中国の徳化窯(とっかよう)の白磁のような薄く純白な素地の再現に成功し、ヨーロッパ初の硬質磁器が誕生した。1720年代にはアウグスト強王の願いが叶い、シノワズリ(中国趣味)の色彩豊かな絵付けにも成功。1735年頃から西洋的な器の形とシノワズリの融合が実現した。本章では、有田でつくられた柿右衛門様式とマイセンでつくられた磁器を比較してみることができる。

展示風景より、《色絵龍虎図輪花皿》(1670-90年代)愛知県陶磁美術館蔵
展示風景より、《色絵花鳥文貝殻形皿》(1740-50年代)マイセン

編集部