ジュリア・サリセティアティ&アリ・“ジムゲッド”・センディは、インドネシア・ジャカルタを拠点とするアーティスト。現代の移民労働に焦点を当て、移動、労働、そして人々の回復力といったテーマを探求している。《振り付けられた知識》(2025)は移民労働者が他国に定着すること、あるいはその後帰国すること、それを支えてきた教育史などへのリサーチからなるプロジェクトだ。植民地時代以前から現代に至るインドネシアの制度と労働、そして日本の福祉業界も含めた国外への労働力輸出としての移民政策を、テキストや映像で表現した。


台湾を拠点とするアーティスト・ユ・チェンタのペルソナであるFAMEMEは、家業としてドリアンを栽培しており、ドリアンをテーマにマイノリティのアイデンティティやクイアな視点を体現してきた。本展でFAMEMEはミュージックプロジェクト《THORNITURE》(2025)を始動させ、ミックスのルーツを持つ3人のラッパー、Moment Joon 、なみちえ、DANNY JINを迎え楽曲をつくるとともに、ポップアップショップのような空間を現出。河野未彩によるアートディレクションによって、ドリアンに仮託されたマイノリティの抵抗がポップかつスタイリッシュに表現された。

インド・ムンバイを拠点とする、2007年に結成された協働的スタジオ・CAMP。現代のインフラへの関心を焦点に、監視用CCTV を含むカメラを用いて映像作品を制作している。7チャンネルのビデオを立体的に組み合わせた展示作品《ボンベイは傾く》(2022)は、ビルの屋上に設置した1台のCCTVカメラを遠隔操作して撮影された映像を、スイッチングするように展開させていく。映像は、あるときは工事中の高層ビルに極限まで寄り、またあるときはビニールシートで屋根を保護した住宅密集地の住民の生活をとらえる。巨大な都市のインフラの持つ重層性、そこに無数の人々が生きていることの不思議さが、音楽とともに次々に押し寄せてくる。

大和楓は、沖縄を拠点に、身体における「型」に着目し、そこに宿る政治性や歴史、文化的な構造を露わにするアーティストだ。展示作品《仰向けで背負う》(2025)は、沖縄・辺野古における新基地建設反対運動をテーマとしている。金属製の装置に身体を置くことで、抗議の座り込み中に機動隊によって強制排除される際の姿勢や自重をトレースすることができ、会期中には装置の体験と対話を組み合わせたワークショップも実施される。なお、ドローイングは座り込みと排除の様子を描いている。




















