香港の西九龍文化区にあるM+とニューヨーク近代美術館(MoMA)が、新たな覚書を締結し、アジアの美術館とMoMAとの初めての包括的な協力を開始した。
M+の館長であるスハーニャ・ラフェルと、MoMA館長のグレン・D・ラウリーは、2月18日にMoMAで行われた署名式にて覚書に署名した。この覚書は、共同でのキュレーション研究・交流、保存とコレクション管理(収集から保存、管理、展示、アクセスに至るまで)、アートワークの貸出、持続可能性の実践共有、トレーニング・専門職の発展、知識の共有、展覧会とプログラムの交換を含む6つの主要な分野に関する協力を定めている。
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Photo by Brett Beyer © 2019 The Museum of Modern Art, New York
ラフェル館長は、「このパートナーシップを通じて、互いの理解を深め、交流を強化することに興奮しています。これにより、キュレーション業務、コレクション開発、展覧会研究、博物館運営に関する協力の礎を築くことができると確信しています」と強調している。
いっぽうのラウリー館長は、「M+との新たなパートナーシップに非常に興奮しています。専門知識やアイデアを交換し、私たちの博物館が新たな方向に進む手助けをするとともに、世界中の観客に現代アートやアーティストと触れ合う機会を増やすことができると期待しています」とのコメントを寄せている。
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Photo by Kevin Mak © Kevin Mak Courtesy of Herzog & de Meuron
M+は昨年3月、東京の国立新美術館とも国際連携に関する覚書に調印。その後、両館は2025年秋に共同企画展「日本の現代美術1989-2010(仮称)」を国立新美術館で開催することを発表した。
また、M+をはじめ、香港故宮文化博物館、戯曲センターなどを統轄する西九龍文化区管理局(WKCDA)は世界各地の20以上の主要な芸術文化機関とパートナーシップを締結している。今回、M+とMoMAのパートナーシップは、キュレーションや研究の新たな突破口を切り開き、アート界における両館の影響力をさらに強化するだろう。