「FIND ON SITE 多摩美術大学のマーク / 渋谷PARCO PART3」(五十嵐威暢アーカイブ)レポート。デザインアーカイヴからその思考やプロセスを紐解く【3/3ページ】

 もうひとつの「多摩美術大学のマーク」は、現在の多摩美術大学でも用いられているものだ。指名コンペティション形式であったこのプロジェクトに、五十嵐は当時住んでいたアメリカから日本のスタジオを通じて参加しており、コンセプトの設定からFAXによるデザイン案のやり取り、そしてロゴの展開案に至るまでが時系列に沿って展示されている。遠く離れたスタジオにきちんと意図が伝わるよう、思考が丁寧に言語化されていることも資料から読み取れる。

 そしてやはり驚くべきは、当初大学側より指定されていた「マーク」「ロゴタイプ」の提案のみならず、その展開までを考えてプレゼンに臨んでいる点にある。ビジュアル的なデザインはもちろんだが、五十嵐がいかにプレゼンテーションを重視していたかも伺うことができるだろう。

展示風景より、「多摩美術大学のマーク」 担当ディレクターは野見山桜
展示風景より、「多摩美術大学のマーク」
展示風景より、「多摩美術大学のマーク」

 なお、3月5日には元『アイデア』編集長・室賀清徳をゲストとし、トークイベント「デザインアーカイブの実際ー五十嵐威暢アーカイブを事例に」も開催された。アーカイヴはyoutubeで視聴が可能となっているため、ぜひあわせてご覧いただきたい。

編集部

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