EXHIBITIONS

儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教

2024.11.27 - 2025.01.26

重要文化財 二十四孝図襖 伝 狩野永徳  十四面のうち 1586年 南禅寺(通期展示・面替えあり)

 サントリー美術館で「儒教のかたち こころの鑑 一日本美術に見る儒教」が開催される。

 儒教は、紀元前6世紀の中国で孔子(前552/551~前479)が唱えた教説と、その後継者たちの解釈を指す思想だ。孔子が唱えた思想とは五常(二・義・礼・智・信)による道徳観を修得・実践して聖人に近づくことが目標であり、徳をもって世を治める人間像を理想としている。このような思想は、仏教よりも早く4世紀には日本へ伝来したといわれ、古代の宮廷で、為政者のあるべき姿を学ぶための学問として享受された。

 中世になると、宋から新たに朱子学(南宋の朱熹が確立させた新しい儒教思想)が日本へ伝わり、禅僧たちがそれを熱心に学んだことから、儒教は禅宗寺院でも重要視された。そして近世以降、文治政治を旨とする江戸幕府は、儒教を積極的に奨励し、その拠点として湯島聖堂を整備。江戸時代を通じ日本各地で、身分を問わず武家から民衆、子どもに至るまで、その教育に儒教が採用され、広く浸透していった。

 例えば、理想の君主像を表し為政者の空間を飾った、大画面の《帝鑑図》や《二十四考図》が制作されたいっぽうで、庶民が手にした浮世絵や身の回りの工芸品の文様にも同じ思想が息づいている。本展は、『論語』にある「温故知新」(ふるきをたづねて新しきを知る)のように、日本美術の名品に宿るメッセージに思いを馳せる展覧会となるだろう。