愛知・豊田市の豊田市美術館で美術家・玉山拓郎の大規模個展「玉山拓郎: FLOOR」が始まった。会期は5月18日まで。担当学芸員は鈴木俊晴。
玉山は1990年岐阜県多治見市生まれ。絵画制作を出発点に愛知県立芸術大学で学んだのち、現在は東京を拠点に活動。早くから立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開しており、「六本木クロッシング2022展:往来・オーライ!」(森美術館、東京)では、東京の街を一望できる展示室に《Something Black》を展開し、大きな窓ガラスを赤いフィルムで覆い、黒い家具のような物体で空間を満たした。
また「ART IN THE PARK(工事中)」(Ginza Sony Park、2024)では、地下2階から4階のGinza Sony Parkを縦に貫く巨大なインスタレーション《Static Lights:Two Ellipeses》を展開。2色の光を放つ楕円を建築の中に文字通りインストールし、大きな注目を集めた。本展は玉山にとって初の美術館における大規模個展であり、豊田市美術館おける個展開催の最年少記録だ。
会場となる豊田市美術館は、昨年87歳で逝去した建築家・谷口吉生の設計による代表作のひとつ。ミニマリズムと機能性が融合した、静謐な印象を与える美術館として知られる。本展は、その豊田市美術館の2〜3階にある5つの展示室に、過去最大規模の作品を「貫入する」という、同館でも前例のない試みだ。
キュレーターの鈴木は「5つの展示室に1つの作品、というのがこの展示の大きなポイントでありチャレンジングな点だ」と話す。数多くの作品で構成されるのでもなく、あるいは展示室に物語(ストーリー)を設定するのでもない、「空間によって成立させる展覧会」に挑んだ。
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