改修のポイントを見ていこう。まず大きな変更は、エントランスだ。これまで髙橋節郎館の屋外中庭だった場所を室内化し、エントランスホールが増築された(約140平米)。
新たなエントランスホールは既存の構造を残したままに増築。増築された屋根は軽量な屋根架構(張弦梁)で、ロビーとしての落ち着きを感じられるスペースとなるよう、負荷を抑えるかたちで透過性のある光幕天井が設置された。また大きな窓を設けることで美術館本館とのつながりが強調されている。
このエントランスがハブとなり、ワークショップルームや展示室へと導線がつながる。
また風除室、廊下、ワークショップルーム改修(500平米)・建物外周部及び博物館2階エントランスへの歩道整備(約180メートル)・展示室内壁面(800平米)なども改修。
そして旧エントランスホールは展示室へと改修され、展示スペースの増床が実現。今後は豊田市美術館本館の休館日においても、髙橋節郎館単独で活動可能となるような展示キャパシティとなった。
リニューアルオープンを飾る展覧会は、「髙橋節郎展-我逢人 われ人に逢うなり-」だ(〜5月18日)。この展示では、髙橋の「人」と「作品」をあらためて紹介するとともに、結城素明や藤田嗣治、熊谷守一、吉原治良など、髙橋の芸術性に影響を与えた人々にも焦点を当てるものとなっている。
展示は髙橋の父と親交があり、「美術の世界に入る恩人」であった結城素明の作品から始まり、最後はこの建築の背景が垣間見える、谷口吉生から髙橋へ宛てた手紙で締めくくられている。
豊田市美術館に訪れた際は、同館とは異なるテイストを持つ髙橋節郎館にも立ち寄ってみてほしい。
- 1
- 2