「第2章 Space In-Between:ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」では、ひとつの展示室を囲むように、ミューラー=ブロックマンが手掛けたポスター作品や彫刻、それに関連する書籍や資料が並べられている。写真や図、タイポグラフィが絶妙に調和するそのビジュアルデザインを実現しているのは、まさにミューラー=ブロックマンによるグリッドシステムによるものだろう。
2人の作品からは、空間や色彩の考え方といった面で共通点を見出せるいっぽう、互いに影響を受けながらも各々が異なる表現を追求していったことが伺える。そういった意味でも、作品を交互に見せるのではなくあえて個展の形式にしたことで、各人その考え方をどのように深め、昇華していったのかがよくわかる内容となっていた。
本展は、ヨゼフ・ミューラー=ブロックマンによるポスター作品はもちろんのこと、吉川静子の活動や作品を一望できるまたとない機会である。これをきっかけとして吉川作品の研究や評価がさらに進むことを期待したい。