会場では、それぞれの個展形式で吉川の作品を約130点、ミューラー=ブロックマンの作品約60点を展示しており、大きく分けて「第1章 Space In-Between:吉川静子」「第2章 Space In-Between:ヨゼフ・ミューラー=ブロックマン」の2部構成だ。第1章では、吉川静子による作品を10つのセクションに分けて紹介している。
吉川がアートの道へ進むこととなったきっかけのひとつに、とある建築のためのサイトスペシフィック・アートを手がけたことが挙げられる。「1 初期の作品:建築空間のアート」では、日常空間のなかにアートを溶け込ませることが人々の体験にどのような影響をもたらすのかといった関心から、コンクリート・アートの流れを組む作品群を展示している。
「2 色影レリーフ」や「3 網の構造と空白の中心」では、コンクリート・アートにおいて色表面の転換と連続性に取り組んだ作品群や、そこから派生した立体作品を紹介。なかでもわずかな凹凸の側面にのみ着色を行った「色影」シリーズは、見る角度のよって色が変化するといったもので、吉川による空間や瞬間(時間)に対する視点が表れている。