鑑賞者はまず、入口の鏡の前に設置された「精神的支援の門」に置かれた動物の被りものを選び、動物となって展示室に展開されている「森」のなかに入っていくことになる。

柵に囲われた森の中央に横たわっているのは、巨大な母豚だ。どこかアニメーションのキャラクターを想起させるような戯画化された大きな瞳でこちらを見つめており、腹部には子豚に乳を与えるであろう乳房がいくつも並ぶ。

母豚の乳房の周囲には藁のイメージがプリントされたたラテックスのソファーが設置され、鑑賞者はここで思い思いの時間を過ごしながら、自身が動物になったかのように母豚のまわりに集い、あるいは動物のように振る舞うことになる。
