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「原田裕規:ホーム・ポート」(広島市現代美術館)開幕レポート。円環のなかで見つめる「わたし」【3/4ページ】

 3章には、CGによって制作された平面の最新シリーズ「ドリームスケープ」が並ぶ。なかでも注目したいのは、本展タイトルと同名の作品《ホーム・ポート》(2023/2024)だ。

 これは、日系人も多く移り住んだ町であり23年夏に大火に襲われた「マウイ島ラハイナ」を描いたラッセンの作品(本展にも展示)がもとになったもの。ラハイナはもともとクジラが集まり、沖合で出産する場所であり、ラッセンを育んだマリンアートの聖地でもあった。ラッセンの《ホーム・ポート》には多くの船や街の風景が描かれているが、原田のホーム・ポートからはそれらの要素が削ぎ落とされている。その景色は遠い未来のラハイナのようであり、クジラやハワイ人、日系人がいつかその「母港」に戻れるようにという原田の想いが込められている。

 ラハイナへの滞在歴もある原田はこの作品の題名を展覧会のタイトルに採用しており、まさしく本展のキーとなる作品だ。

展示風景より、《ホーム・ポート》(2023/2024)
展示風景より、手前が原田の実家にあったラッセンの絵。奥がラハイナを描いたラッセンの作品

 本展のために制作された作品にも注目したい。《光庭》(2024)は、黒川紀章設計の広島市現代美術館にある「光庭」を、いかなる展示にも適さない「ボイド」としてとらえ、モチーフにしたもの。エドワード・ホッパーが好んだ「白い夕陽」が差し込む風景には1脚の椅子が置かれている。これ同じ椅子が会場にも置かれており、作品と現実がリンクする。

展示風景より、手前が《光庭》(2024)

編集部

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