皇室の美術振興-日本近代の絵画・彫刻・工芸
いっぽう、「皇室の美術振興-日本近代の絵画・彫刻・工芸」では、明治から昭和にかけて行われた新古美術品展覧会、帝国美術院展覧会、東京大正博覧会、内国勧業博覧会など11の博覧会や展覧会で、宮内庁御買上となった作品が登場する。
開催時期に合わせて、秋をテーマにした作品が多いのも本展の見どころとなっており、日本画では川端玉章の《浜離宮春秋図》(1882)や信州の山を描いた池上秀畝の大作《秋晴》(1915)などがその代表例だ。
いっぽう洋画で見逃せないのは、太田喜二郎の《並木道》(1914)だろう。黒田清輝の勧めでベルギーに留学し、ゲントの美術学校で印象派を学んだ太田。本作にはその成果として筆致分割法が見られる。宮内省が1914年の東京大正博覧会で買上げて以降、初公開となるもので、110年ぶりに日の目を浴びた。 その歳月を感じさせない、色鮮やかな作品だ。
そのほか工芸からは、十二単を着た女性の姿を象牙によって写実的に表現した旭玉山の《官女置物》(1901)や、無線七宝で知られる濤川惣助(絵付:泉梅一)による《稲穂に群雀図花瓶》(1881)などが並ぶ。
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