「森の芸術祭 晴れの国・岡山」見どころレポート【5/6ページ】

蒜山・真庭エリア

GREENable HIRUZEN

 ジャージー牛乳で知られる蒜山。ここにある複合施設「GREENable HIRUZEN」では4作家が展示している。

 東勝吉は10代から木こりとして活動し、引退後に83歳から独学で絵画を描き始めた経歴を持つ。99歳で亡くなるまでに描かれた水彩画は100点にものぼる。今回は、そのなかから芸術祭のてーまでもある森が描かれた12点が選ばれ、展示されている。東が木こりとしてとらえていた自然の姿が、ストレートに平面に表現されている。ディレクターの長谷川が「描かれているもの一つひとつに必然性を感じる」と高く評価する作家だ。

東勝吉の展示風景
東勝吉の展示風景

 また東山詩織は、森と都市がないまぜになった巨大な風景画を展示。複雑なレイヤーを有した画面はいつまでも飽きることなく見ていられるだろう。

東山詩織の展示風景

 この芸術祭のために23年から複数回にわたり岡山を訪れた川内倫子は、蒜山の山焼きや新庄村の不動滝、岡山市のはだか祭りなどを撮り下ろしたものをインスタレーションとして展示。また天井高のあるヒルズの建築にあわせ、天井から布地にプリントした作品が吊るされ、人の動きによって揺らぎが生まれている。

川内倫子の展示風景
川内倫子の展示風景

 同じく写真では上田義彦による作品にも注目だ。40年にあまり森を撮り続けてきた上田。今回、岡山県北東の若杉天然林と人工林の2種類の森林を撮影。その特性の差異を感じ取りたい。

上田義彦の展示風景

勝山町並み保存地区

 父親が真庭出身という建築家・妹島和世は、岡山の木材を使用した椅子を勝山町並み保存地区のために制作。様々な暖簾が軒を飾るこの街並みに感銘を受けたという妹島。椅子の作品は「あしあと」という名前がつけられており、街道を歩いていきそうな足のフォルムが特徴的だ。また表面には皮膚のように筋が彫られ、心地よい触り心地を与えてくれる。同作はこの地区において今後もつくり続けられるという、パーマネントな作品となっている。

妹島和世の「あしあと」
妹島和世の「あしあと」

編集部

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