続く大客室と大食堂はアール・デコの粋が集められた空間だ。大客室では、天井からはルネ・ラリックによるシャンデリアが室内を照らし、アンリ・ラパンによる壁面デザインや、ガラス工芸家のマックス・アングラン作のエッチング・ガラス扉など、至るところが装飾で彩られている。
そして、大食堂へ。壁面がイヴァン=レオン=アレクサンドル・ブランショのレリーフで彩られ、ルネ・ラリックによるシーリングライト《パイナップルとざくろ》が部屋を照らす。アール・ヌーヴォー期のジュエリーのスタイルを確立した第一人者であるラリックのシャンデリアをはじめ、植物などの有機的なモチーフを取り入れたデザインと、幾何学的でシンプルなアール・デコ様式との融合が旧朝香宮邸を特徴づけていることが、この大客室と大食堂で感じることができる。