文化庁が主体となって行う、音楽とアートの融合を図るプロジェクト「MUSIC LOVES ART 2024 - MICUSRAT (マイクスラット) -」が大阪で始まった。会期は8月25日まで(千葉でも同時開催)。
文化庁は一昨年からサマーソニックと連携し、フェスと同時期にアートの展示を行ってきた。本イベントは、その拡大版とも言えるものだ。その背景には、文化庁の京都移転と、昨年7月に採択された文化庁・関西広域連合・関西経済連合会・文化庁連携プラットフォーム共同宣言「文化の力で関西・日本を元気に」がある。この宣言では、来年開催の大阪・関西万博を見据え、官民一体となって文化芸術の国際発信とグローバル展開にビジネス観点を取り入れ、戦略的に取り組む「CBX(Cultural Business Transformation)」を推進する姿勢が強調されている。
今回、大阪の会場となっている大阪市および吹田市。大阪市においては、関西経済連合会や同市、地元立地の関係企業が協力し、通常は作品が展示されない市内各所で作品が展示された。砂を素材に日記のような地図状のドローイングを立体化したREMAの《The Ecosystem of Love from That Time》、音を即興的に絵画化する渋田薫《Singin’ in the Rain》《ミライムジーク》、50種ほどの「はん」「えい」の漢字を用いて波紋を描く大谷陽一郎の《はん/えい #1》、大量の車椅子を積み上げて構築した《_TypeΔ_SPEC3》など、12ヶ所でアートを見ることができる。
いっぽう吹田市では、令和6年度「日本博 2.0」採択事業の一環として、都市型音楽フェスティバル「SUMMER SONIC OSAKA」とコラボレーション。久保寛子《やさしい手》、奥中章人《INTER-WORLD/SPHERE: The Three Bodies》、GOMA《ひかりの滝》といった比較的大型の作品が場内で展示された。
サマソニ会場を視察に訪れた都倉俊一文化庁長官は報道陣に対し、「いま現代アートでは日本の若い才能が世界から注目されており、国としてもアートを応援していきたい。また日本は世界有数の音楽大国でもある」としつつ、「アートと音楽は、今後さらに日本が世界的に参入すべき2つの柱だ」と強調。また、今回大阪の経済界を巻き込んだことで「CBX(Cultural Business Transformation)」に勢いをつけたかちとなっており、来年の大阪・関西万博においては、文化庁主導でアートプログラムを行うと意気込みを見せた。