会田誠による、一風変わった個展「《混浴図》への道」が麻布台ヒルズにあるGallery & Restaurant 舞台裏で始まった。会期は5月19日まで。キュレーターは齋木優城。
本展で披露されるのはすべて新作。しかしこれらは本画ではない。本展には、数年後に完成する予定の縦218×横999センチに及ぶ大作《混浴図》の練習として描かれたものが並ぶ。展覧会タイトルの通り、「《混浴図》への道」だ。
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会田はこの《混浴図》について数年前から構想を練っており、描くことは決めていたものの「重い腰がなかなか上がらなかった」というが、この個展を契機として制作のスタートが切られた。
作品に描かれるのは広大な露天風呂。そこに、会田オリジナルのキャラクターも含め、日本的な記号としての手拭いや日本酒、猿やカッパ、あるいは古典絵画や報道写真資料からの引用、無機物の擬人化など、じつに様々(混合)だ。会田はその存在の善悪を問わず、森羅万象の多種多様な存在を、親鸞を中心に「直感的に」かき集めたという。
会田はこう語る。「混浴露天風呂という空間は他者に対して寛容であり、多様性が共存する理想の場所。しかし現実世界は不寛容さが目立つばかりでそうはならない。絵画の中くらいは、そうした理想の世界をつくってみたいと考えた」。
会田本人ですらまだ見えていない壮大な完成図を想像しながら楽しみたい。
なお、本展と同時期に会田家の面々による展覧会も開催。 「アートかビーフンか白厨」では、妻・岡田裕子による個展「Celebrate for ME 2024」(4月20日〜5月12日)が、上野下スタジオ(ABAB UENO)では、会田家長男・会田寅次郎による個展「yume tensei」展(4月20日〜5月12日)が行われるので、あわせてチェックしてほしい。
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