クリエイティブカンパニーNAKED, INC.(以下、ネイキッド)が平安神宮で手がける、新たなかたちの夜間参拝「NAKEDヨルモウデ 2023 平安神宮」が12月1日よりスタートした。
始まりは2021年。普段は入ることのできない夜の平安神宮で、神秘的な参拝体験を演出できないかとネイキッドが考えた。同時に、コロナ禍で密を避けるための分散参拝という意図もあったというが、1年の締めくくりに行う夜間参拝が好評を博し、今年で3回目を迎えた。参道を抜け、重要文化財である応天門の朱が夜の闇に浮かび上がるようなライトアップから始まる。
境内に入ると、まず「NAKEDディスタンス提灯」を受け取る(通常版は無料。展示された提灯の光の色に呼応する連動提灯は+300円)。境内に植えられた桜と橘の木にちなみ、それぞれの花の模様が光となって現れるこの提灯は、参拝客同士の光が重ならないことでディスタンスを保つという意図でデザインされたのだが、この提灯をもつと、来場者もこの夜間参拝の演出に加わる仕掛けだ。
参拝前に手を清める《光の手水》へ。ボックス状の手水に手を入れると、そこには光の花(椿、花菖蒲、山茶花)が表れ、軽いシャワーで手が清められる。インタラクティブな要素を取り入れることで、参拝客も能動的に平安神宮の夜間体験に入り込んでいく。
太極殿へ向かうと、NAKEDディスタンス提灯を置くことで光が反応するインタラクティブアート「光の開廊」も設置されている。太極殿に入り、参拝を行う。ヨルモウデのメインイベントだ。
参拝を終え、平安神宮を代表する東神苑に向かう。光で演出された順路を辿っていき、ヨルモウデのハイライトのひとつが尚美館のプロジェクションマッピングだ。東深淵の四季の移ろいを表現した3分ほどの映像が投影され、光の絵が映り込む池の様子なども含む庭園全体が幻影空間となる。
東神苑の出口へ向かう手前の泰平閣では、提灯に願いを書いた短冊を供えることができる。来年に向けての願いごとを書くか、抱負を書くか、1年を締めくくるヨルモウデのクライマックスだ。歴史に裏付けられた厳粛な空間が光のプログラミングによって新たな顔を見せ、幻影的な体験が生まれる夜の平安神宮を訪れてみてはいかがだろうか。