2021.8.7

歴史的建築「kudan house」で見る菅木志雄、杉本博司、ルーチョ・フォンタナ

東京・九段下にある歴史的建築「kudan house」を会場に、銀座 蔦屋書店アートギャラリーTHE CLUB マネージングディレクターの山下有佳子がキュレーションした展覧会「The Still Point – まわる世界の静止点」がスタートした。

展示風景より、ダニエル・ビュレン《Peiture Acrylique Blanche sur Tissu Rayé Blanc et Rouge, December》(1970)
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 1927年に内藤多仲、木子七郎、今井兼次の手によって竣工した登録有形文化財「旧山口萬吉邸」。現在は会員制のビジネスイノベーション拠点「kudan house」として活用されているこの場所で、「時/とき」をテーマにした展覧会「The Still Point – まわる世界の静止点」が始まった。9月5日まで。

展示風景より

 本展は、GINZA SIX6階にある銀座 蔦屋書店アートギャラリー「THE CLUB」でマネージングディレクターを務める山下有佳子がキュレーションするもの。イギリスの詩人、T.S.エリオットが『バーント・ノートン』のなかで探求した、現実の時間と永遠が交差する地点「“The still point”-静止点」を起点とし、国内外19組によるアーティストの作品が3フロアの各所で展示されている。 

展示風景より、ルーチョ・フォンタナ《Concerto spaziale》(1959)

 山下は本展に際し、「コロナを経て、いちど停止したかのような時間。それがまたものすごい速さで動き始めたいま。多くの人が改めて『時間』について考えているのではないでしょうか」としつつ、以下のように本展の狙いを語っている。

 「それは多くのアーティストたちを惹きつけてきたテーマでもあります。アートは、その一方通行にも見える時間というものの多面性を、私たち鑑賞者に再認識させてくれます。過去を愛しみ、未来に思いを馳せ、または不変というものに想いを巡らせる。会場を後にし、また日常へと戻るとき、時間に消費されるのではなく、私たち自らの感性と感覚で“とき”をとらられるよう願っています」。

展示風景より、手前から塩月寿籃《巣ごもり》(1990)、李禹煥《黙 4》(2006)

 館内にはダニエル・ビュレン、ルチオ・フォンタナ、サム・フランシス、杉本博司、河原温、宮島達男、黒田辰秋、李禹煥、菅木志雄、名和晃平といったすでに高い評価を得ている作家から、小瀬真由子、猪瀬直哉、オリバー・ビアなどの若手も参加。一部を除き、ほとんどの作品は購入可能であることも注目だ。

 なお、kudan houseでは「パビリオン・トウキョウ2021」の展覧会も同時開催中。建築家・石上純也による巨大なインスタレーション《木陰雲》も体験できる。

展示風景より、杉本博司《Goshen, Indiana》(1980)
展示風景より、左からデタニコレイン《the river》(2020)、宮島達男《Mirror of Change - 003》(2021)
展示風景より、上田尚宏《Internal clock》(2021)
展示風景より、名和晃平《Throne(p/g_boy)》(2019)、《Throne(SiC/p_boy)/p_boy)》(2019)
展示風景より、塩月寿籃《流れる曇》(2002)
展示風景より、猪瀬直哉の作品群
展示風景より、小瀬真由子《記録的な獲物 Record Prey》(2020)
展示風景より、手前から菅木志雄《間状化》(2010)、《揺間立》(2010)、《連周》(2011)
庭に展示されている石上純也《木陰雲》