また本イベント内では、法堂をはじめとする境内の各所に計7つの鑑賞スポットが展開されている。ニューロミュージックが流れる「音回廊」をはじめ、秋風と紅葉に包まれた方丈庭園に浮かぶ雲海を映し出す「風龍の舞」、金色に輝く唐門と地面に映る淡い光の揺らぎを見せる「悠玄庭」、そして龍王殿での脳波計を装着した坐禅体験など、アートとニューロミュージックが響き合う禅空間が、夜の建長寺に立ち現れる。




これらの鑑賞スポットを、五感を使いながら歩き巡る行為は、建長寺に伝わる「歩行禅(ほこうぜん)」の実践とも結びつく。歩くことを通じて呼吸を整え、それによって心も整えるというこの修行法は、自身の心身の声に耳を傾ける実践とも言える。
本イベントのプロデュースを行ったメンバーのひとりである、VIE最高音楽責任者であり慶應義塾大学准教授の藤井進也は次のように語る。
「人間の脳はそれぞれ違うリズムを持っています。だからこそ、人によってとらえられる音とそうでない音がある。線香の燃える音や、足元の砂利を踏む音——そうした微細な音の世界に感性を向かわせることで、心が豊かになり、世界の様相そのものが変わって見えるのです。ニューロミュージックは、そのような感性の範囲に変化をもたらすアプローチでもあります」。


本イベントの前身となる「ZEN NIGHT WALK KYOTO」(2024年、京都・建仁寺)では、約3万人の来場者がこの体験を共有し、アートと瞑想が重なる時間を過ごした。今年の秋は、夜の建長寺に足を運び、アートとニューロミュージックから自分自身と世界を、いま一度見つめ直してみてはいかがだろうか。

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