
撮影=渞忠之
写実的な文様を可能にしているのは、絵具や描法にもたらした技術革新だ。藤本は、それまで原色のみの表現であった色絵に、九谷焼に用いられる五彩、赤、黄、緑、紺青、紫色の絵具を混色することによって中間色を生み出した。
複雑な色彩を駆使し、絵具の濃淡で立体的に描き出される鳥の文様。その背景には「釉描加彩(ゆうびょうかさい)」と名付けた独自の描法で、色絵の層の下に器の奥へと広がる風景が描かれる。

撮影=渞忠之

撮影=渞忠之
現代の陶芸を専門にする同館のコレクションにおいて、質、数ともに重要な位置を占めるのがこの藤本の作品であるという。創設者の菊池智(きくち・とも、1923~2016)との親交によって形成されたコレクションには、1974年以降、充実期に制作された色絵磁器作品を中心に約130件が収蔵されている。
本展では、1974年から最晩年までの作品を紹介し、藤本の色絵における表現と技術の関係にせまる。

撮影=渞忠之

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