キヤノンマーケティングジャパンと博報堂の2社共同によるオンラインアート鑑賞プロジェクト「ZOOOOOM ART MUSEUM(ズーム アート ミュージアム)」。4月5日の19時から約30分、同サービスをYouTubeにて無料で体験できる。今後も本格的なサービス化に向けて、実験的に配信を行っていく。
ZOOOOOM ART MUSEUMは高精細レンズによるズーム映像により、学芸員とともに作品の細部まで読み解きながら、ひとつの作品を30分で深く楽しむことができる。
また、最大の特徴は作品に対する「問い」をもとに、学芸員とモデレーターが繰り広げる対話だ。たんに作品を知るだけではなく、オンラインならではの特徴を活かし、視聴者もコミュニケーションに参加し作品に対する解釈を持つ機会を提供し、新たなスタイルの鑑賞体験を目指している。
今回は、弘中智子(板橋区立美術館)と山塙菜未(ポーラ美術館)の学芸員2名を迎え、板橋区立美術館の所蔵作品である河辺昌久《メカニズム》(1924)を解説。モデレーターは田尾圭一郎(田尾企画 編集室)が務める。
約100年前の1920〜30年代、欧米の都市をはじめ世界的に工業化が進み、関東大震災後の日本でも東京を中心として急速に「モダン」な都市へと再構築が進むなかで、前衛的な表現で活躍した芸術家のひとり、河辺昌久。5月19日までポーラ美術館で開催中の「モダン・タイムス・イン・パリ 1925 ― 機械時代のアートとデザイン」展でも展示されている同作について、今回はどのような新しい解釈が生まれるだろうか。
モデレーターの田尾は次のようにコメントしている。「極度なズームによって河辺昌久《メカニズム》を鑑賞することで、マチエールや色彩といった細部はもちろん、作家の遊びごころや時代感といった無意識下に通底する気配をもまで感じることができた。ズームによってフォーカスが狭くなっていくほどに、疑問と探究の世界線は広がっていく──ZOOOOOM ART MUSEUMを通して、20世紀モダニズムと現代をつなぐ30分を体感してほしい」。