1755年に創業したスイスの高級時計メゾンであるヴァシュロン・コンスタンタンがルーヴル美術館とのパートナーシップに続き、メトロポリタン美術館と芸術・文化のためのパートナーシップを結ぶことを発表した。
このパートナーシップは、「メゾン(ヴァシュロン・コンスタンタン)のこの国に対する文化的、芸術的な愛着と、その専門技術の保存への関心を裏付けるもの」。芸術文化の分野において新たな意味を与え、創造性あふれる共同プロジェクトを通して知識技巧を共有することを目指しているという。
パートナーシップにより、メトロポリタン美術館の使命に関する様々な活動、とくに教育とアーティスト・イン・レジデンスの分野においてヴァシュロン・コンスタンタンが支援する。特別なイベントも計画され、メトロポリタン美術館のコレクション所蔵作品からインスピレーションを得た新たなタイムピースの誕生が期待されている。
ヴァシュロン・コンスタンタンは、2016年にルーヴル美術館で展示された18世紀の時計「天地創造」(1754年にフランス王ルイ15世に献呈)の修復を経て、19年に同館とパートナーシップを締結。その後、同館に所蔵されている作品のタイムピースの制作や、昨年は同館とともにヴェネチアで開催された「ホモ・ファーベル展」に参画するなど様々なプロジェクトを行っている。
また、2020年に始まった"One of Not Many Mentorship Program"では、ロンドンのアビー・ロード・スタジオとのパートナーシップにより若き音楽家たちが音楽制作の専門家のサポートを受けたり、ニューヨーク・シティ・バレエ団のプリンシパルダンサーのチェン・ウェイ・チェンへの支援を通じ、有望な若者たちへ芸術や技術を伝承するプログラムも実施している。メゾンのCEOルイ・フェルラは、今回メトロポリタン美術館とのパートナーシップについて次のように語っている。
「権威あるメトロポリタン美術館とパートナーシップを結ぶことで、私たちは知識の伝承と、芸術の保護という共通の使命に焦点をあてることができます。ヴァシュロン・コンスタンタンの芸術と文化への取り組みは、つねに尽きることのないインスピレーションの源であり、すべてのタイムピースに美を創造し表現する自由を浸透させています」。
いっぽう、メトロポリタン美術館の教育部門は年間を通して2万9000以上の教育イベントやプログラムを開催。ワークショップや芸術創作の体験、美術館のガイド付見学、進学と研究の奨学金のほか、キャリアへのアクセスと多様性を促進するための高校や大学でのインターンシップ、障害のある来館者のアクセスプログラム、芸術を持続的に深く学ぶための学校でのプログラムなどがその一例だ。
同館CEOでマリナ・カレン・フレンチ・ディレクターであるマックス・ホラインは、次のようなコメントを寄せている。「ヴァシュロン・コンスタンタンは、創造性を讃え、芸術の伝統を守る、尊敬される時計メゾンであり、その長年の努力と一致する我々の使命を支援してくださることに感謝しています。私たちは、教育と芸術への相互のコミットメントを基盤に、今後、数々のプロジェクトを一緒にできることを楽しみにしています」。