椿昇がキュレーション。グランフロント大阪で新アートプロジェクト「ART SCRAMBLE」が始動

新進気鋭のアーティストをサポートし、世界に誇れるカルチャーを発掘・発信していくという新たなアートプロジェクト「ART SCRAMBLE」が、JR大阪駅前の「グランフロント大阪」でスタートする。こけら落としとなる展覧会の会期は2021年9月中下旬まで。

展示風景より、右からMon Kotaro Ooyama《ツナガリ》、KAC《多幸》

 JR大阪駅前の「グランフロント大阪」で、新たなアートプロジェクト「ART SCRAMBLE」(アートスクランブル)が始動した。

 「多様な人々や感動との出会いが新しいアイディアを育むまち」というビジョンのもと、まちづくりを進めてきたグランフロント大阪。同プロジェクトは、グランフロント大阪から全国・世界へ羽ばたくアーティストをサポートするもの。新進気鋭のアーティストの手によって生みだされた作品を展示することで、訪れる人に次々と驚きと発見を与えるとともに、アートと来街者が出会い、つながっていくまちを目指している。

 3月29日から始まった第1弾では椿昇をキュレーターに迎え、米村優人と、Mon Kotaro Ooyama、KAC(ケエシ)の3名のアーティストによるオブジェやウォールアートを、それぞれ南館 せせらぎテラスと北館 せせらぎのみち沿い壁面で展示している。

 米村優人は群像彫刻《AGARUMANS(Best Friend)》を展示。「agarma」(アガルマ)はギリシャ語で「彫像」、 そして「AGARUMAN」とは「人体彫刻」を意味する。3人の男女がはしゃいでいるようなシーンをとらえた同作には、コロナ禍が過ぎ去った明るい活気のある大阪の復興への願いが込められている。

米村優人 AGARUMANS(Best Friend)
米村優人 AGARUMANS(Best Friend)

 いっぽう、Mon Kotaro OoyamaとKACは動物のモチーフの絵柄を選定した作品を発表。Mon Kotaro Ooyamaの《ツナガリ》では捕食関係にある「虎と鹿」をひとつの場面に表現し、動植物が自然環境と重なり合って一体となり、強かに生き抜く姿を示している。

Mon Kotaro Ooyama ツナガリ

 KACの《多幸》では、擬態をし、どんな環境にも順応し生き抜く「タコ」と、脱皮をし、古い自分から新しく生まれ変わる「ヘビ」を描写。コロナに災害、この目紛しい世界情勢において順応し、進化し生きていくという気持ちを表現した作品だ。

KAC 多幸

 今回のプロジェクトについて椿昇は、「アートを難しくする専門家も、アートを簡単にするメディアも、アートを観るものと思い込んでいる人たちもなんか変だ」としつつ、次のようにコメントしている。

 「アートはかたちが無くて誰にもわからない奇妙な存在。役に立たないけれど僕たちの文明の始まりからいままでずっと側にいる。でもひとつ言えることは誰かのまわりに何かのまわりに渦巻きが絶え間なく続いていて、その渦巻きがアーティストたちを産み続けてきたということ。ラスコーやアルタミラの洞窟の奥深く、鷹峯の本阿弥光悦の草庵のあたりにそれはあった。そしてグランフロント大阪『ART SCRAMBLE』もその先っぽにあると信じたい」。

 なお、本プロジェクトは単発ではなく、年間を通じて複数回の展示入れ替えを実施し、中⻑期的に継続して取り組んでいく予定となっている。

編集部

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