2019.6.10

「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」日本では23年ぶりの大規模個展が清里フォトアートミュージアムで開催

世界でもっとも重要な写真家のひとりとして、同世代および後進の写真家に、多大な影響を与えてきたロバート・フランク。その日本では23年ぶりとなる大規模個展「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」が、山梨の清里フォトアートミュージアムで開催される。会期は2019年6月29日〜9月23日。

ロバート・フランク 映画のプレミア、ロサンゼルス 1955 Ⓒ Robert Frank
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 現在94歳。世界でもっとも重要な写真家のひとりであり、同世代および後進の写真家に、多大な影響を与えてきたロバート・フランクの大規模な個展「ロバート・フランク展 - もう一度、写真の話をしないか。」が、山梨県北杜市の清里フォトアートミュージアムで開催される。

聖ジェナーロ祭、ニューヨーク 1948 © Robert Frank

 ロバート・フランクは1924年スイス・チューリッヒ生まれ。47年、23歳の時にアメリカ・ニューヨークに移住し、雑誌『ハーパース・バザー』でファッション写真に従事するかたわら、南米やヨーロッパ各地への撮影旅行を重ねた。53年にはファッション誌の仕事を辞め、フリーランスの写真家として『ライフ』『フォーチュン』などの雑誌に寄稿。

 1955年〜56年にグッゲンハイム財団の奨励金を受給し、9ヶ月間アメリカ国内の30州を撮影しながら車で旅し、58年にその成果の結晶である写真集『Les Americains(アメリカ人)』をフランスで、翌年にはアメリカ版である『The Americans』を出版した。

『The Americans』より、《テネシー州チャタヌーガ》 1955 © Robert Frank from The Americans

 スイスから移住したばかりだったフランク。当時のアメリカは戦後の繁栄のいっぽうで、公民権運動が勃発するなど人種問題や戦後の世代・文化が錯綜する、大きな変貌の渦中にあった。移民の若者がアメリカに強く感じた疎外感や不安、孤独を写真によって鋭くあぶり出した同作は、世間に強い衝撃をもたらしたという。

 またフランクが行った個人の視点に基づく主観的な写真表現は、リー・フリードランダーやダイアン・アーバス、ゲイリー・ウィノグランドといった後進の写真家に大きな影響を与えた。

『The Americans』より、《聖フランシス、ガソリンスタンド、市役所 ‒ ロサンゼルス》 1955 © Robert Frank from The Americans

 日本での大規模展覧会として、1995年の「ロバート・フランク:ムーヴィング・アウト」展(横浜美術館)以来23年ぶりとなる本展では、清里フォトアートミュージアムが収蔵する多数のフランク作品のなかから、106点を展示。

 作品はすべてフランク自身が、本年約40年ぶりに目を通し、展示を承諾したもの。『The Americans』掲載作品9点や、写真集に掲載されなかった未発表の作品も含まれており、作家の現在の意向を強く反映されている。これらの作品を通して、若きロバート・フランクが模索と挑戦を重ねた初期の歩みと眼差しをたどる、絶好の機会となるだろう。

 なお写真はすべて撮影からあまり時間をおかずに制作された「ヴィンテージ・プリント」で、同館がこれらをまとまったかたちで展示をするのは、今回が初めてとなる。

11丁目 1951 © Robert Frank
チューリッヒ 1952 © Robert Frank