開場前から多くのVIPが列をなした。このことからも「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2023」への期待感は計れるだろう。
2015年より開催されている「アジア」をコンセプトとした日本唯一のアートフェア「ART FAIR ASIA FUKUOKA」が、その8回目となるフェアをマリンメッセ福岡 B館でスタートさせた。会期は9月24日まで。
AFAFは福岡からアジアのアートマーケットを活性化させ、国際競争力のある都市とすることを狙ったもので、一般社団法人アートフェアアジア福岡が主催してきた。
今年は過去最大規模となる117ギャラリーが参加。うち51ギャラリーは初出展となる。またコロナ禍後初となる、韓国、香港、台湾やASEAN諸国から海外14ギャラリーが出展している。2015年の初回参加ギャラリーが27軒だったことを顧みると、その規模は着実に拡大を見せている。
会場からもその成長はうかがえる。昨年は福岡国際会議場とホテルオークラ福岡の2会場を使用したものだったが、今年はこれをマリンメッセ福岡 B館の1ヶ所に集約。昨年比で約4倍という広さとなり、よりダイナミックなフェアの印象を与えている。
AFAF2023は、アジアを代表するアーティストなどを紹介する「ASIA」、多種多様なギャラリーが並ぶ「UNLIMITED」、そして今年新設されたオープンスタイルの「THE WALL」、そしてキュレーターが企画する「CURATION」、ギャラリー以外の業種との「COLLABORATION」で構成される。
なかでも注目したいのは、エントランスすぐに構える「CURATION」のうち「Leading Asia」だ。本フェアのスペシャルアドバイザーを務める宮津大輔がキュレーションするこのセクションでは、「Storyteller(物語の語り手)」をテーマに、社会課題・アフター/ ウィズ・コロナの状況などを扱った作品を中心に展開し、アジアの現在が提示されている。このブースを起点に、海外ギャラリーブースが続く構成は独特だ。
数々の海外アートフェアも知る宮津は、「アートフェアは規模ではなく独自性の時代」だと語る。国内あるいはアジア圏でアートフェアが相次いで誕生するなか、AFAFのように独自の色を打ち出すことは戦略的に重要なことだ。
また宮津は、アジアの中核都市を目指す福岡市の姿勢がフェアにも良い影響を与えているとしており、そうした意見は様々なギャラリーからも上がった。例えばFINCH ARTS(京都)やbiscuit gallery(東京・軽井沢)、TAKU SOMETANI GALLERY(東京)、MARUEIDO JAPAN(東京)などからは、福岡が街ぐるみでアートを盛り上げる動きや、アジアの顧客との新たなコネクション構築への期待の声が聞かれた。
またDMO ARTS(大阪)ディレクターであり、大阪のアートフェア「UNKNOWN ASIA」でエグゼクティブプロデューサーを務める高橋亮は、政令指定都市のなかでも「人口増加数・増加率」が第1位であることに着目しており、新規顧客開拓の可能性をフェアに感じているという。
コロナ禍が開け、規模を拡大しての「リスタート」とも言える今年のAFAF。行政の強い後押しを受け、さらに独自色を色濃くし、数多あるフェアと差別化をいかに実現できるか。今後のAFAFの展開も要注目であることは間違いないだろう。