世界4都市で7つの展示スペースを持つメガギャラリー、デイヴィッド・ツヴィルナーが、ゲルハルト・リヒターの加入を発表した。
「ドイツ最高峰の画家」とも呼ばれるリヒターは、数十年のキャリアにわたり絵画とその形式的・概念的可能性を広げることに取り組んできた。また、絵画だけでなく、オブジェ、インスタレーション、ドローイング、写真記録などの媒体を用いて、歴史、記憶、表象について考察している。
リヒターは、1968年にデイヴィッド・ツヴィルナーの父であるルドルフ・ツヴィルナーのギャラリーで個展を開催。94年、その前年にオープンしたニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナー・ギャラリーで版画とマルチプル作品を展示し、2000年と04年には初期絵画と風景画も同ギャラリーで展示した。
そんなリヒターは声明文で、「私は、1960年代にすでにデイヴィッドの父親であるルドルフ・ツヴィルナーと密接に仕事をしていたので、彼のことはその幼少期から知っている」と振り返りつつ、今回のギャラリー加入は「世代を超えた美しい連続性を表している」とコメント。
ツヴィルナーは、「ゲルハルト・リヒターと一緒に仕事ができることは大変な名誉であり、大きな恩恵だ」とし、リヒターを次のように評価している。「リヒターは、間違いなく、美術史上もっとも複雑な概念と美学的異質性を持つ作品を制作してきた。単一のイデオロギーや教義に固執することを避けることで、絵画という行為そのものを称賛し、また破壊することができた。その過程で彼は、絵画というメディアをまったく新しい可能性と探求の場として、たったひとりで切り開いてきた」。
今年10月まで東京国立近代美術館でリヒターの大規模回顧展が開催されたことはまだ記憶に新しい(同展は2023年1月29日まで豊田市美術館で巡回開催中)。近年、リヒターはメトロポリタン美術館の分館メット・ブロイヤーやオーストラリアのクイーンズランド美術館などでも個展を行った。来年3月にはニューヨークのデイヴィッド・ツヴィルナーでの初個展も予定されている。