サザビーズが6月29日にロンドンで開催する「印象派・近代・現代美術オークションイブニングセール」に、ワシリー・カンディンスキーの傑作がハイライトとして出品される。
《TENSIONS CALMÉES》と題された本作は、カンディンスキーがパリに移り住んでいた1937年に描かれたもので、ニューヨークのグッゲンハイム美術館が1945年に収蔵。その後、64年にサザビーズはグッゲンハイム美術館からカンディンスキーの絵画50点を集めた歴史的なオークションを開催し、本作もそこに出品された。このオークションにおいて《TENSIONS CALMÉES》は個人が落札。以来50年以上にわたり所蔵されてきた。
サザビーズのサイモン・ショー副会長は本作のセールについて「カンディンスキーのこの傑作を再び紹介できることを大変嬉しく思う」とコメント。また同社のヘレナ・ニューマン( Worldwide Head of Sotheby’s Impressionist & Modern Art Department)は、「過去10年間にオークションに出品されたカンディンスキーの作品のなかでもっとも重要な作品のひとつ」と高く評価する。
本作の予想落札価格は1800万〜2500万ポンド(約27億円〜約37億5000万円)。カンディンスキーのオークションレコードは2017年に落札された初期作品の4180万ドルであり、本作がこの記録を塗り替えるかに注目が集まる。
なおこのセールには、エドガー・ドガによる浴室の女性を描いたパステル作品《Le bain》(1883)や入浴後の裸体を描いたパステル作品《Femme à sa toilette》(1897頃)などが同一のプライベート・コレクションから出品。それぞれ予想落札価格は150万〜200万ポンド(約2億2500万円〜3億円)、100万〜150万ポンド(約1億5000万円〜2億2500万円)となっている。