草間彌生が生涯の友人であり、2019年に逝去した医師・廣瀬輝夫に贈った11点の最初期作品が5月12日にオークションハウス・ボナムズで行われたセールで、合計約1523万ドル(約16億6600万円)で落札され、事前の予想落札価格880万ドルのほぼ2倍となった。
同コレクションは、これまで一度も公開されたことがなかった。鮮やかな色を組み合わせた初期作品《Untitled》(1965)は推定250万ドル〜350万ドルの価格に対し、約460万ドル(約5億円)で落札。草間が代表的なモチーフ「無限の網」を用いて「川」をテーマにした《Mississippi River》と《Hudson River》(いずれも1960)は、それぞれ約363万ドル(約4億円)と約400万ドル(約4億3700万円)で競り落とされた。
また、ドローイング8点は6万〜8万ドルの予想落札価格に対し、それぞれ30万〜50万ドル(約3300万円〜5500万円)という予想を大きく上回る価格で落札された。これらの作品は、草間が1957年に渡米する前に制作したもので、その後の草間の作品において基礎となったものだとされており、「無限の網」の起源を示している。
今回の結果について、ボナムズの戦後・現代美術部門のグローバルヘッド、ラルフ・テイラーは次のようにコメントしている。「稀少な草間の作品を1点だけでなく、11点も初めてオークションに出せたことを光栄に思う。今回の出品結果は、草間作品に対するコレクターの熱意がこれまで以上に高まっていることを示している。このような機会を与えてくださった故広瀬博士に敬意を表したい」。