美術館では世界初のクリプトアートにフォーカスした展覧会「Virtual Niche - Have you ever seen memes in the mirror?」が、3月26日〜4月4日に中国・北京のUCCA Labで開催された。
クリプトアートとは、無限に複製可能なデジタルアートをNFT(非代替性トークン)などに紐付けることで、作品が唯一無二の「一点物」の価値を生みだせるデジタルアート作品。
今年1月、クリスティーズはデジタルアーティスト・BeepleのNFTに基づいたデジタルアート作品《Everydays - The First 5000 Days》をオンラインオークションで出品。これをはじめ、アート界では空前のNFTブームが巻き起こっている。
北京でのクリプトアート展では、上述のBeepleをはじめとする30人のアーティストによる60点以上のクリプトアート作品を展示。クリプトアートが持つ実用的な意味や現実世界との関係性を探りつつ、一般の人々のクリプトアートへの理解を深めることを目指した。
美術館でクリプトアート展を開催する意義とは何か。またこのクリプトアートブームの利点や問題点、そして未来の姿について、同展の企画およびキュレーションを担当したクリプトアートのマーケットプレイス「Block Create Art」のCEO・孫博涵(ソン・ボーハン)と、プロデューサーを務めた王琴文(ワン・チンウェン)に聞いた。
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──まず、この展覧会を開催しようと思ったきっかけについて聞かせてください。
孫博涵(以下、孫) 今回の展覧会はNFTがまだあまり注目されていなかった昨年の9月〜10月頃から計画していました。いまのマーケットでは注目されていますが、当時の私たちには想像にもおよばなかった事態ですね。琴文と私は美大で学んだ経験があるので、NFTやクリプトアートをより多くの人に理解してもらうために、展覧会をやりたいとずっと思っていたのです。もっとも質が高いクリプトアートを紹介することで、クリプトアートが私たちの日常生活とどのように交わり、つながっているかを一般の方に知ってもらいたいと。
王琴文(以下、王) 展覧会を行うことは公共教育の一種であり、とても影響力のあることだと思います。クリプトアートマーケットを含むアートマーケットは、まだ欧米が主要な地位を占めています。しかし、中国は人口が多く、展覧会を見る空気も成熟してきたので、このような展覧会を開催することは意味があるでしょう。またこの展覧会を通じて、クリプトアートの世界がどのようなものかを理解してもらえればと思っています。