美人画と役者絵という浮世絵版画の第一線で活躍し、浮世絵師のなかでも一番の作画量を誇る歌川国貞(1786~1864)。国貞は春画においても才能を発揮し、なかでも源氏物語のパロディーである『花鳥余情 吾妻源氏(かちょうよじょう あづまげんじ)』『艶紫娯拾餘帖(えんしごじゅうよじょう)』『正寫相生源氏(しょううつしあいおいげんじ)』の3つからなる「三源氏」は、多色摺木版画の頂点とも評されている。
そんな「三源氏」の初摺本を揃って紹介する「まぼろしの春画 国貞三源氏」が、福岡市美術館で開催されている。会期は3月22日まで。
『正寫相生源氏』初摺本の受贈を記念して行われる本展。同作はほぼすべてのページに金、銀、青貝など贅を尽くした摺りが用いられ、「三源氏」のなかでも群を抜いた出来栄えを示している。長いあいだ所在が不明となっていたが、近年発見された「幻の」春画だ。
本展では『正寫相生源氏』に加え、『花鳥余情 吾妻源氏』、『艶紫娯拾餘帖』もあわせて公開。「三源氏」の初摺本が一同に集結する、世界でも初めての機会となる。同館で開催中の「大浮世絵展」とあわせて、国貞の超絶技巧を楽しみたい。