ロンドンのサーペンタイン・ギャラリーが2000年より毎年夏に設営している「サーペンタイン・パビリオン」。その21回目が、アメリカ人アーティストであるシアスター・ゲイツによってデザインされることが発表された。
世界的な建築家やアーティストにデザインを依頼して生み出される夏季限定のカフェ兼休憩所、サーペンタイン・パビリオン。これまではザハ・ハディドをはじめ、伊東豊雄やレム・コールハース、オラファー・エリアソン、フランク・ゲーリー、SANAA、石上純也などがそのデザインを手がけてきた。
「ブラック・チャペル」と題された今年のパビリオンは、アジェイ・アソシエイツとのコラボレーションにより建設され、6月10日〜10月16日の期間に公開される。イギリスの工芸品や製造業の伝統からインスピレーションを得たパビリオンの入り口には、シカゴのサウス・サイドにあるセント・ローレンス教会にあった鐘が設置され、天井の開口部からの光源は神秘的な瞑想空間をつくりだす。
夏のあいだ、パビリオンは同ギャラリーのパブリックプログラムの会場として利用予定。音楽、詩、ダンスのライブイベント「パーク・ナイツ」をはじめ、ファミリー・ワークショップやコミュニティ・デーなどの教育および市民活動が行われる。
今回のパビリオンについて、ゲイツは声明文で次のように述べている。「『ブラック・チャペル』という重要な名前は、私の芸術活動の見えない部分を反映している。この名前は、聖なる音楽と聖なる芸術が私の活動に与えた役割と、これらの感情的で共同体的な取り組みの集合的な特性を表す。また、『ブラック・チャペル』は、このような時代に、一日のプレッシャーから解放され、静かに過ごすことができる空間をつくりだす。私はつねに、人々が深い考察や関与の空間に入ることを可能にする、音や音楽の力を癒しのメカニズムや感情的な力として考えられる空間をつくりたいと考えている」。
サーペンタイン・ギャラリーのCEOであるベッティーナ・コレクとアーティスティック・ディレクターのハンス・ウルリッヒ・オブリストは、「第一線で活躍するビジュアル・アーティスト、シアスター・ゲイツと一緒にこの素晴らしいプロジェクトを実施できることを光栄に思う」としつつ、「私たちは、『ブラック・チャペル』を、人との関わり合い、精神性、一体感のためのプラットフォームとして鑑賞者をお迎えできることを楽しみにしている」とコメントしている。