選挙前に見ておきたい各政党の文化政策。与野党ともに文化予算増には賛成姿勢

株式会社アートローグは10月31日に投開票が行われる衆議院議員総選挙を前に、各政党の文化芸術マニフェストを問うアンケート「ManiA(マニア・Manifest for Arts)」を早稲田大学マニフェスト研究所とともに実施。その結果を公表した。

国会議事堂

 今月31日に投開票される「第49回衆議院議員総選挙」を前に、株式会社アートローグが早稲田大学マニフェスト研究所とともに各政党の文化芸術マニフェストを問うアンケート「ManiA(マニア・Manifest for Arts)」を実施。その結果を公表した。

 アンケートは、自民党、立憲民主党、公明党、共産党、国民民主党、れいわ新選組、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で、日本維新の会、社会民主党を対象に実施された。

文化芸術に対するビジョン

 「文化芸術に対するビジョンと、それに基づき、今後、取り組む予定の施策」については、自民党が「文化芸術による国家ブランド戦略の構築」「文化GDPの拡大」「文化立国の実現」を党のビジョンとして提示。公明党も同じく「文化芸術立国の実現」を掲げる。

 いっぽう、党要領のなかに文化芸術振興を盛り込んでいる立憲民主党は、「基金の公的資金の増額」や「障害の有無にかかわらないすべての人が生涯にわたり文化芸術を楽しめる環境整備」など複数の中長期的な政策を挙げているのが特徴的だ。

 共産党は国がコロナ禍における経済打撃への補償を行うことの重要性を強調。「文化芸術復興創造基金」の抜本的な強化や、フリーランスのアーティスト、技術スタッフへの持続化給付金再支給などを掲げている。

 れいわ新選組は、フランスが導入した「カルチャーパス」のような文化芸術のための無料券の配布を提言する唯一の党となった。

文化芸術省の創設

 2018年に文化芸術推進フォーラムと文化芸術振興議員連盟によって提言された「文化芸術省」。その創設に関しては、各党が反対(1)〜賛成(5)の5段階評価で解答。主要各党の回答はともに「3」以上となっている。

 自民党は「省庁再編は大掛かりな事業」「まずは文化予算の獲得による文化力向上を目指します」とやや消極的。

 いっぽう、立憲民主党と公明党は積極的な姿勢を見せており、立憲民主党は「文化芸術活動の振興に最も資する省庁のあり方を検討してまいりたい」と回答している。

 共産党は文化・芸術の重要性を踏まえたうえで、「『稼ぐ文化』偏重ではなく、日本の文化・芸術の多面的な発展を保障し、国民が芸術・文化を創造し享受する権利を保障する方向性を明確にすべき」と主張している。

文化芸術予算の増額

 興味深いのは、「文化芸術関連の予算増額には賛成または反対ですか」という質問への回答だ。自民党、立憲民主党、公明党、共産党、国民民主党、れいわ新選組がいずれも「賛成」。

 自民党は「文化予算が諸外国に比して圧倒的に少ない現状は真摯に受け止めており、人々の教養を高め、生活に安らぎと潤いをもたらす文化芸術への投資は最優先でなされるべき」としているが、「限りある国家予算の中で文化芸術振興にかける予算規模や文化行政の在り方はどうあるべきかという大局的な議論も必要」という考えを示す。

 立憲民主党は関連予算の増額を進めていくべきだと名言。公明党も文化芸術立国に向けた「一層の予算の確保が不可欠」と予算増に前向きな姿勢を見せる。

 共産党も「抜本的な増額が必要」との立場をとりつつ、コロナ禍での文化支援策の不十分さを指摘。「国が文化・芸術を国民の『生きる糧』として守り、発展させる立場に立つことが必要」だとしている。

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