紛争や様々な原因からヨーロッパを目指す地中海の難民たち。そうした人々をレスキューするため、バンクシーが動いた。
バンクシーは自作の売却益で元フランス海軍のボートを購入。この船で、地中海の難民を救出する活動をサポートしていることを自身のInstagramを通じて発表した。
パリ・コミューンの立役者のひとりであるルイーズ・ミッシェル(1830〜1905)の名を冠したこのボートは、鮮やかなピンク色が特徴。側面には、バンクシーの代表的な作品である《風船と少女》をモチーフに、ライフジャケットを着用した少女が描かれている。
バンクシーはInstagramで、欧州政府が「非ヨーロッパ人」からの遭難信号を無視していると批判。ルイーズ・ミッシェル号のウェブサイトでもこうした各国政府の対応が「絶望的な状況に陥った人々を海に漂わせている」と指摘しつつ、次のような声明を出している。
「海の人々は、不運な犠牲者ではありません。この危機は自然災害ではありません。政治的な決定と人間性の失敗によって引き起こされたものです。救命ボートで解決することはできません。溺死を止めたいのであれば、救命ボートに乗せることを止めなければなりません。もしあなたが貢献したいのであれば、人種差別に反対して声を上げ、気候正義のための運動に参加し、近くても遠くても、あらゆる生命に対する世界的な尊重を守るために、あらゆる種類の行動をとってください」。
バンクシーはこのような人道的活動を積極化させており、新型コロナウイルスのパンデミックでは病院に資金を寄付するため《Game Changer》を制作。また7月にはヨーロッパ難民危機を題材に描いた作品《Mediterranean sea view 2017》をオークションに出品し、その収益をベツレヘムの病院に寄付するなどの動きを見せている。