7月にイギリス政府が15.7億ポンド(約2100億円)の発表した文化芸術セクターに対する緊急支援パッケージ。その詳細が明らかになった。
アーツ・カウンシル・イングランド(ACE)が発表した詳細によると、イギリス政府は、5万ポンド(約700万円)から300万ポンド(約4億2000万円)までの補助金を提供する「Grants」と、300万ポンド以上で、最大20年間にわたり年率2パーセントで返済必須の長期融資である「Repayable Finance」といった2種類のパッケージを提供。それぞれの総額は5億ポンド(約700億円)と2億7000万ポンド(約378億円)で、文化組織は2種類のうちのひとつだけを申請することができる。
支援対象は、イギリスに拠点を置く、「COVID-19以前は財政的に持続可能であったが、現在は破綻の危機に瀕している」文化組織。なかには、音楽、演劇、ダンス、複合芸術、視覚芸術、博物館、文学などの芸術形式や分野のいずれかで活動する組織が含まれており、ギャラリーやアートフェアの主催者も対象となっている。しかし、図書館や映画館は今回の支援対象外。それらの組織は別の部門を通じて支援を申請することができるという。
今回のパッケージについて、ACEの最高経営責任者であるダレン・ヘンレイは次のようにコメントしている。「私たちの役割は、これまで資金提供の関係がなかった組織も含め、文化セクターの広い範囲に対する政府からの資金を管理することです。私たちは前例のないスピードで作業しながら、公正な申請過程を確保します。組織が生き残るためには迅速に資金を調達する必要があるのです」。
Grantsは8月10日〜21日、21日〜9月4日2回連続で実施。いっぽう、Repayable Financeへの申請は8月21日〜9月9日行われる。ほとんどの結果は10月中に通知される。
なおイギリス政府は今秋、2021年から24年までの政府支出計画の策定を予定しており、ヘンレイはこう続ける。「私たちは、文化と創造性への投資がいかに賢い選択であるかを示す必要があります。公的資金を受けている私たちは、コロナ後の経済復興に貢献するとともに、英国全地域のすべての人々、とくに裕福でない人々や弱い立場にある人々のニーズと利益を満たす責任があります」。