今年6月に開館を予定していた待望の私設美術館「ブルス・ドゥ・コメルス」(Bourse de Commerce)が、開館を2021年春に延期することを発表した。延期の理由は、新型コロナウイルス感染症の拡散防止による継続的な都市封鎖や活動再開の条件の不確実性により、必要な作業が予定期限内に実施できなくなったという。
同館は、グッチやサンローランなどを有するラグジュアリーグループ「ケリング」のCEOで、アート界にも絶大な影響力を持つコレクターであるフランソワ・ピノーが設立し、1767年に建造された元商品取引所を安藤忠雄が改修設計したもの。
3000平米のモジュラー式の展示スペースは、プロジェクトに応じて100〜600平米の展示室に分けられ、写真、絵画、ヴィデオからインスタレーション、彫刻まで、様々なスケールやメディアの作品を展示することができる。
3月9日、美術館建物の改修が完成し、大規模な仕上げや家具の調達などの準備に入ったが、16日にはパリがロックダウン状態に入り、それらの活動がすべて中断を余儀なくされた。今後について、同館は「現場で働く従業員の衛生および保護対策に従い、(中断された工事を)できるだけ早く再開する」とし、「残りの作業の合計期間は、8〜9ヶ月にかかる」と推定している。
また、今年海外で開館予定の注目の新美術館のなかでは、安藤忠雄が設計した中国の「和美術館」(3月21日→未定)や、アメリカの「アカデミー映画博物館」(年初→12月14日)も開館の延期を発表している。