ケイト・ブランシェットが「ダダ宣言」? 映画『マニフェスト』のDVDに注目

ケイト・ブランシェットが13の役を演じ、13のシーンごとに異なるマニフェスト(宣言)を語る映画『マニフェスト』。そのDVDが、1月31日に発売される。

 

映画『マニフェスト』より (C) Julian Rosefeldt(2016)

 「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや映画『ブルージャスミン』で知られるオーストラリアの名優ケイト・ブランシェット。その演技力と美術史が結びついた映画『マニフェスト』のDVDが1月31日に発売される。

『マニフェスト』パッケージ

 『マニフェスト』でケイト・ブランシェットが演じるのは、ホームレスや科学者、保守的な母親、ニュースキャスター、パンクロッカーなど13の役。本作は、美術や建築にまつわる重要な宣言(マニフェスト)やテキストに基づいた13のシーン で構成され、各シーンごとに異なる役を演じるケイト・ブランシェットが、異なるマニフェストを語る。

 例えば冒頭、一見するとケイト・ブランシェットだとはわからないほどメイクが施されたホームレスが高らかに叫ぶのは、1960年代前後のフランスを中心に起こった「シチュアショニスム(状況主義)」のマニフェストだ。

映画『マニフェスト』より (C) Julian Rosefeldt(2016)

 また、葬儀の場面で弔辞のように読み上げられるのは、1918年にトリスタン・ツァラが起草した「ダダ宣言」など、ダダイスムに関する様々なマニフェスト。振付師はステージ上でパフォーマーたちに向かい、フルクサスやメルツ、パフォーマンス・アートに関するテキストを怒鳴るように投げかける。

 あるいはニュースキャスターが読み上げるのは、ニュース原稿ではなく、ソル・ルウィットによる「コンセプチュアル・アートに関する断章」の一節だ。

映画『マニフェスト』より (C) Julian Rosefeldt(2016)

 既存の価値観を打ち破るべく打ち立てられてきた様々なマニフェスト。ときにそれは教条主義的でもある。本作ではマニフェストが持つアンビバレントな性質を、シーンとマニフェストの見事な融合で提示する。

編集部

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