ART WIKI

フルクサス

Fluxus

 1960年代に誕生した国際的で領域越境的なアーティスト、作曲家、デザイナー、建築家、詩人、パフォーマーなどからなる集団、ネットワーク。60年にアーティストのジョージ・マチューナスの呼びかけで集まった、70名ほどの国際的なグループである。グループとしての固定した思想はなく、反芸術のあり方、とりわけダダイズムの影響を受けている。名称「FLUXUS」は、ラテン語で「流れ」を意味するが、英語の「flux」の動詞「溶かす、液体にする」に「 us(我々を)」をつけた「Flux us」の意もある。

 同グループには、ドイツ、アメリカ、日本など10ヶ国のアーティストが参加。主なメンバーは、ナムジュン・パイク、ヨーゼフ・ボイス、ヴォルフ・フォステル、オノ・ヨーコ、久保田成子ら。日本からも靉嘔、一柳慧、刀根康尚など9名が参加した。66年には、ハイレッド・センター(高松次郎、赤瀬川原平、中西夏之)の《首都圏清掃整理促進運動》(1964)がFluxfestで再演された。

 またフルクサスの活動のなかで、ディック・ヒギンスが「インターメディア」という概念を創出。「インターメディア」は様々な表現メディアの「間」を指し、領域越境的な試みがたんにそれで終わらず、何度も繰り返されることによって新しい表現が生まれるという考えであり、フルクサス以降のアート表現にも影響を与えた。

 フルクサスの活動は、演奏、パフォーマンス、展示、複数製作の印刷物やオブジェなど多岐にわたり、相互に複合している。

文=沖啓介

考文献
トーマス・ケラン『FLUXUS』(Thames and Hudson、1995)